FRONT DESIGN TALK

設計の最初期から共に描いた仕上と納まり。
自然なムラ感が、広い青空に映える大迫力の外装。

イング本社屋|ING HEAD OFFICE BUILDING

群馬県高崎市に竣工したイング本社屋は、周囲に遮るものがない開けた土地に佇む2階建ての低層オフィスビルです。外壁・軒天井・エントランス壁の計380㎡に採用されたフロントの「CRAFT N. Light」は、基本設計の段階から設計事務所様と仕上・納まり・水仕舞の細部を磨き上げてきた、伴走型のものづくりの結晶だと考えております。縦長のガラスブロックや白色系の割石とともに構成されたファサードは、群馬の広い青空の下でそれぞれの素材が調和しながらも確かな存在感を放っています。

「自然なムラ感」と「唯一無二」を求めた設計者との対話

今回のプロジェクトは、既にお付き合いのあった設計事務所様からご相談をいただいたことに始まります。鉄骨造に金属化粧パネルを採用するという前提のもと、納まり・仕上・コスト感・工程スケジュールを基本設計の段階からご一緒させていただき、受注へとつながりました。

設計者様が仕上に求めたのは、「自然なムラ感があること」と「他にない仕上であること」の二点でした。加えて、余計なものが見えないすっきりとした意匠と、確かな水仕舞を兼ね備えた納まりの両立も、この案件における重要なテーマでした。その要件に応えるため採用されたのが、「CRAFT N. Light」(高耐食メッキ鋼板・t2.3mm)のカットパネルです。パネルエッジを効かせた金属パネルらしいシャープな表情と、職人の手仕事による自然なムラ感が共存するこの仕上は、設計者様が重視したポイントを体現するものでした。

水仕舞と意匠美を両立した、ディテールへの執念

基本設計段階でパースを共有していただき、笠木・下笠木・出隅・入隅・開口部廻りといった各部ディテールについて、設計事務所様と膝を突き合わせた打ち合わせを重ねました。特に笠木部分のデザインディテールと下端笠木の水仕舞については、計画の初期段階からスケッチを取り交わしながら意見をすり合わせ、意匠性と機能性が両立する答えを丁寧に積み上げていきました。コスト感についても設計事務所様と随時共有しながら進めたことで、事前に把握いただいた予算と乖離なく設計事務所様のデザイン思想を体現することができました。

実際の施工段階では、原設計の矩計図が潜在的に持っていた雨水対策の課題とも正面から向き合いました。当初のディテールではカットパネルの裏側に雨水が流入してしまう恐れがあったため、壁パネルの天端を曲げ加工とした上でアルミ笠木に絡めてシールすることで流入を抑制。さらに、流入した雨水を排水するため、通常とは逆の施工順を採用。大判の軒天パネルにボーダー的なパネルを割り付ける形とすることで、雨水を外部へ排出しながら壁パネル先行の美しい納まりを実現しました。

大判パネルを精度よく収める、現場の工夫と知恵

計380㎡を短い工期の中で収めるには、現場ならではの工夫が求められました。特に大判の壁パネルの施工手順については、現場の職人と綿密に検討を重ね、パネルと下地を屋上に揚重し、吊り下げながら取り付けました。屋上は外断熱シート防水であったため、防炎シートとコンパネで全面を丁寧に養生した上で資材を仮置きし、防水層を傷つけないよう細心の注意を払いました。さらに、この現場専用のパネル吊り治具を制作し、2点滑車ワイヤーで取付位置への微調整を可能にしたことで、大判パネルを高い精度で納めることができました。

仕上の品質管理においても、塗装の色艶にばらつきが生じないよう、同一寸法のパネルであっても取付面ごとに連番の合番を振り分け、加工工場から塗装工場への納品順序を管理。仕上工場においても取付面ごとに連番で並べた順序で塗装を行うことで、大面積を覆いながらも色艶違いのないクオリティを確保しました。

竣工した外観を前にして感じるのは、考え抜かれた納まりの中で、フロントの金属パネルをはじめ、こだわり抜かれた建材が互いの存在感を引き立て合っているということです。縦長のガラスブロック、白色系の割石とともに、CRAFT N. Lightのカットパネルが広い青空の下で調和しながらもメリハリのある外観を形成している姿をみて、設計事務所様のデザイン思想が体現しきることができたと思います。

材質:高耐食メッキ鋼板
施工箇所:外壁・軒天井・エントランス壁パネル
仕上:CRAFT N. Light / フロントクラフト特注仕上

設計:株式会社アクス
施工会社: 株式会社吉田組
竣工: 2025年09月
場所:群馬県高崎市

参考資料