FRONT DESIGN TALK

耐候性鋼の質感を引き立てる重厚なブラック。
モニュメントとしての風格も備えたデザイン性にも注目。

super-cfc-black 耐候性鋼

ONE AVENUE 一番町文人通り

Super C.F.C Blackの原点

2018年に竣工された「ONE AVENUE一番町文人通り」には、Super C.F.C Blackを生み出すきっかけとなった象徴的な土留めがあります。
道行く人の注目を浴びるエントランス前の中央という場所に配置されたこの土留めは、設計の方から「一番町」という土地にふさわしい、『重厚感』と『存在感』を求められていました。このご要望を形にするために、後に「Super C.F.C Black」と名付ける印象的な黒色の仕上を提案させていただきました。
この迫力ある「漆黒」が特徴のSuper C.F.C Blackは、リン酸処理を施した耐候性鋼に、職人の手作業による模様付けと塗装によって生み出されています。通常の黒色よりさらに深く濃い黒色にすることで、鉄の質感を引き立て、他の黒色の仕上にはない高級感を演出することができました。また、このカラーはキズや錆が目立ちにくいことで、高いメンテナンス性を実現し、6年の年月を経た今、更に深みを増した表情を見せています。

9mmの重厚感ある佇まい

地面から斜めに立ち上がりながら、曲線を描く特徴的なつくりは、この土留めの存在感を演出する決め手となっています。しかし、この3次元的な形状を9mmという厚さで実現させることは容易ではありませんでした。
板厚を薄くし、加工の難易度を下げるといった妥協をすることなく、職人の熟練の技術力と長年の知見を駆使することで、設計者のイメージする土留めを具現化し、Super C.F.C Blackが、土留め・擁壁として最適な仕上であると自信をもってお伝えできる代表作となりました。
鉄特有の鈍い光沢を引き立たせる漆黒と、厚みのある鋼板が描くなめらかな曲線が堂々とした風格を生み出し、土留めとしてだけでなくモニュメントとしても、この建物の顔という役割を果たしています。

参考資料